『アメリカは世界をどうしたいんですか?』06/03/12 烏賀陽弘道さん

さて、宿題は溜めないでさくさくと片付けようっと。

今回は、初めてのこてこての関西弁のゲストであった。
それが一番印象が強かったわけだけど、関西風味の比喩が、世界情勢を説明するのにあまりに的確だということに感動した。
冷戦時代のアメリカとソ連は『東のやくざと西のやくざ』であるとか。
これ以上ぴったりした表現はないほどわかりやすい。
ずいぶん前に、『ここが変だよ日本人』という討論番組で、アメリカ人のゲストが「アメリカは世界の警察だ」と言ったのに対し、「アメリカは世界のマフィアだ」と反論した他国の方がいた。
それを思い出した。アメリカのあり方の本質がやくざのそれだということは、割と広く認知されていることのようだ。

また、アメリカは「近所にひとりはいるお節介のおばちゃん」だというのも絶妙の喩えだと思う。
民主化、いいわよぉ」と他の人に押し付けてまわってしつこいんだとか。
普通、この手の「おばちゃん」はいい人に見えて、干渉を拒絶されると、態度を一変させて、周囲の主婦を全部まきこんで、その「はねっかえり」に対して中傷やら嫌がらせやらするものだ
つまりは番長組織のボスだということ。
腰きんちゃくもいれば、「つかいっぱ」もいる。
この、どこの学校でも職場でも街でもよくある人間模様。
そのまんま、国際社会でも当てはまる。
比喩として絶妙だというのは、こういう支配欲を内側に秘めた独善こそが、アメリカの「お節介」の本質だということを鋭く見抜いておられる点だ。
アメリカとはまさしく、この女ボスのポジションと性質を持っている。
「はねっかえり」だったベトナムイラクも、でっちあげの事件をネタに、散々な目にあった。
ベトナム戦争が終わったとき、「これでやっと戦争がなくなる」と思ったのに、本当に甘かった。
まさか、まったく同じ手口でずっと戦争するなんて。
日本は、痛い目を見るのが嫌さに、心ならずも「つかいっぱ」をしているだけで、ひどい目にあっている「はねっかえり」に対しては、かつて自分もアメリカにそういう目にあった経験から同情的なんだとばかり思っていた。
でも、実際は軍事上の同盟国でもあるし、一方的なつかいっぱ、というだけでもないようだ。

あと、私の勘違いだったらごめんなさいだけど、ヒトラーは独裁者だと言われているけれど、選挙で選ばれたのではなかっただろうか。
つまりは、ドイツ民主主義がヒトラーを作ったのだと。
だから、「腐っても民主主義」という観点で、アメリカの長所とするのは、少し危険な気がする。

どこかが世界のトップにならなきゃいけないって・・・・・・本当にそうかな。
ただ、少なくともアメリカが正義を標榜した上で、それと反することをいろいろやってしまった以上、そのトップになる資格はとっくに失ったと私は見ている。
それこそ、各国の代表による「民主的」な意思決定でいいんじゃないか、と。
アメリカはその話し合いには乗り気ではない。

アメリカ映画は、確かに「これを作っちゃっていいの?」という風刺的なものもたくさんある。
アメリカのいいところ、というか、危険な独走を防ぐ性質がもしあるとしてら、一枚岩でないところ、なのかも知れない。